日本海新聞 潮流 寄稿 平成17年5月 2日



        私見「中国経済

@中国の経済成長が地球規模の経済を牽引している。中国は自由民主の資本主義国に非ず、一党独裁の共産主義による「似非ーえせー資本主義」は人類未経験の経済実験であろう。

A資本主義は英国を嚆矢とし国民にキリスト教的倫理が背景にあったから成功した。

B中国の外貨準備は日本に次ぎ世界第二、約七千億ドル。これは、営々と汗を流して蓄積したものでは必ずしもない、冷戦終結により世界の資本が行き場を求めて人件費格安の中国に怒涛のように流入したのが契機の外貨バブルもある。

C日本の近代化が大成功したのは江戸時代の人的、倫理的社会基盤が完成していたから容易に適応できた。英国産業革命による近代技術と近代法以外の日本文化は西洋より優れていた。

D中国は言論の自由は無く政府・共産党に操作された世論扇動、統計欺瞞・海賊版・賄賂等の反自由、反倫理、金銭不正の横行する民度の低さがある。国営企業、軍部企業が商活動を寡占し、共産党独裁で動き、伝統的賄賂、成功者の公私混同多発の非近代社会性が大きく残存する。要するに社会基盤が後進性のままで世界の外資が流入している現状。

E経済は心理学の要素が極めて高く、また資本は極めて臆病。歴史を見ても無限に成長が継続する事はあり得ずバブルは必ず例外なく破綻したのは事実。

F前提与件とも言うべき事態を列挙したが、次に中国の現状を列記する。数年前、北京空港が黄砂で閉鎖されたのは砂漠化の兆し。黄河下流域に最早や水流もなく河原で井戸を掘り水を汲み上げている。今まで日本人ほど風呂に入らなかった中国人も最近のOLは朝シャンして出勤する。なにせい、人口は
13億である、長江の流れを変える大運河を作り北部へ水を流そうとしている。石油資源が不足し原油の国際的暴騰の引きがね国となった、為に日本の領海侵犯を平気でする。食糧自給は難しいと発表したがこれは世界の食糧を食い荒らす予告。利益の為に無秩序に公害の元である石炭を工場で燃やし、大領土で火のつくようにやるから影響は甚大、地球生態系に及ぼす環境悪影響は絶望的に必至。
おまけに、世界的軍事覇権を求めて公表軍事費だけでも
13%の年率で強化。オリンピックや万博を目指して、日本の資金貢献も巨大な都市の表通りはピカピカでも裏道路は昔のままの不潔さも残る。一台1億円する車を買う金持ちもおれば、農村地帯は一日100円で暮らす非共産主義的不平等が存在。これらの社会的矛盾は破滅的な引きがねとなり得る。
百家争鳴の国民性の中国人、英国とか日本のような秩序ある国民資質が培養されていないから統制が利かない、総体的に道義・倫理に欠け百家争金の社会となっている。自由な中での秩序なぞ、求めるほうが無理。

Gオリンピック・万博までは何とか自制しつつ経済運営をするであろう。ここから、経済は心理学となる。これだけ世界マネーが流入したのは資本利益を求めるためである。みんなが、トコトンそう思えばうまく行くであろうが、利益というものは皆があげられるものではない。誰かが利得したら誰かが必ず損する。資本とは臆病であるという真理が効いてくるのはこれからである。

マネーにとても敏感な白人資本は、潮時を常に考えているのではないか。そして、情緒的で、決断の遅い日本の資本は、後のババを掴むハメにならなければいいがと懸念する。独裁共産主義の国で資本の逃避が起きると、逃避に遅れた国は、手遅れになる事態は容易に想像できる。

中国大銀行の巨大不良債権、また中国に於ける日本企業には頗る付きの不良債権もあるやに聞く。反日中国への過度の食糧依存・製造業移転・目先の利益に溺れ事が彼らの対日生殺与奪の剣となる究極の国益損傷を怖れ、また財界の国益無視の姿勢を深く憂慮する。今年は元の切り上げが問題化か。軍事覇権を米国と争う構図が明快、また多岐に亘る矛盾を内臓しているが、矛盾は必ず破綻する。中国は地球生態系・人類平和共存の致命的撹乱要因になりつつある。

鳥取木鶏クラブ 代表世話人徳永圀典